◆中国の古典から考える会社経営「プレイバック」筆者:武田和也
王の言は糸の如く 其の出づるや綸の如し(『礼記』より)
トップが有能で適応力があるほどワンマン経営に陥りやすく、顔色を
伺う部下・取引先によって、正確な情報から疎外されることがあります。
とりわけ怒気を発しやすいトップの会社では、トップ向けの情報について
遮断や歪曲が行われる傾向にあります。
表題の文言は「トップの言葉は、初めは一筋の糸のように軽いものだが、
どんどん組み紐のように重くなっていく」という意味です。
トップの発言は取り返しがつかないことを「綸言汗の如し」という格言で
表現されますが、この『礼記』の文章から出ています。
顧問先ではありませんが、しばしば情報交換している関西の中堅企業様
では、叩き上げの非常に有能なトップ(創業者)が、創業以来の右腕数本に
相次いで見放されるという事件が発生しました。
直観的把握による将来予測が見事で、着眼点にも優れたトップです。
そのトップの直観を、各領域の右腕たちが着実に形にしていきました。
そのため20店を超える店舗を傘下に持ち、現社長一代で地域一番企業へと
伸し上がりました。
ところが若い頃は自制されていたためか、社員を口汚く罵るようなことは
少なかったそうですが、どうやら60歳を過ぎてから自制が効かなくなられた
模様です。
私たち外部に対してはありませんが、幹部であろうと一般社員であろうと
構わず、ときには我々の目の前であっても古参幹部のメンツを潰すような
激越な落雷が発生します。
私が知るだけで、去った幹部は既に3人に上りました。
去る段になってトップが宥めて慰留を試みましたが、その甲斐もなく
流出が続きました。
トップは会社の成長が止まって己の非に気づき、今では自制されている
そうです。
もう昔日の勢いはありませんが、少しずつ再び成長軌道に乗っています。
会社が成長するほど、出世するほど、言動に影響力が増すことにお互い
注意が必要です。
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