◆中国の古典から考える会社経営「事前の対策」筆者:武田和也
よく患を除く者は いまだ生ぜざるを理む(『六韜』より)
老舗廃業や国内市場の縮小化に伴って、売上拡大・新事業展開などの
「攻めの経営」よりもリスクマネジメントを中心とする「守りの経営」に
焦点が当てられています。
表題の文言は「戦上手の将軍は、リスク管理をゆるがせにせず、予測が
可能な課題は事前に解決している。」という意味です。
『六韜』は古代中国の兵法書で、ここでは名将の条件を挙げています。
おおよそ勝敗は、戦闘が始まる前に決まっているもので、戦争が
始まって事後対応に追われるようでは態勢維持がやっとで、勝利は
覚束ないと説きます。
5〜6年前、ある石油元売企業様からリスクマネジメントの仕事を
お受けしました。
その傘下の販売店向けに研修とリスクマネジメント冊子を作成・
配布するという案件でした。
その内容は、債権回収/土壌汚染防止/労務対策/社内不正防止/
民事介入暴力阻止など10項目で、予兆の見極め方と帳票類、そして
発生時の「初動」のフローです。
最近になって偶然その加盟販売店の経営者にお会いしました。
当時、本音では「つまらない取組み」だと思っていらっしゃった
そうです。
ところが支店マネージャーの不正発覚/隣地の水田への油の流出/
大口法人顧客の破綻での未収が立て続けに発生したそうです。
その際、すぐにリスクマネジメント冊子の所定の方法
(初動対処・適切な連絡先)で何とか乗り切ったそうです。
損害額は合計1000万円ほどで抑えられたそうです。
損保関係者からは、もし初動を誤っていれば損失額は5000万円超だと
言われたそうです。
それを機に、事後対応ではなく冊子に則した事前のリスク発生予防に
努める方針に切り替えたそうです。
営業利益が5%ならば損失50万円は売上1000万円に相当し、経営の存続に
関わります。
売上アップではカバー不能な時勢、事前対策の徹底が会社の存続の
決め手になります。
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