◆中国の古典から考える会社経営「社長夫人」筆者:武田和也
貧賤の知は忘るべからず 糟糠の妻は堂より下さず(『後漢書』より)
中小企業庁の2008年版統計によると、日本の99.2%が中小企業で、
そのうち企業ベースの小規模事業所は71.8%です。大多数が「生業」
「家業」のパパママ企業ということです。
さて表題の文言は「大出世した後も、貧しい時代の友人・知己は忘れない、
苦労を共にした妻は離縁しないのが人間だ」という意味です。
逆に、漢(紀元前3世紀)の高祖皇帝の劉邦や仏皇帝のナポレオン・
ボナパルトは、途中で妻を替えたことで大出世しました。人間性を
大事にするのか、二度とないチャンスを掴むのか、選択が分かれる
ところです。
上記統計を反映しているのか、弊社のクライアントの大多数は中小企業で、
小規模企業も少なくありません。
独立の時に夫婦2人で立ち上げた企業も珍しくなく、その場合に最も
頻度が高いパターンは「ご主人が営業」で「奥様が経理」です。
幾つものクライアント企業の実態からまとめると、小規模企業が
中堅企業へと脱皮する際の、課題かつメルクマールのひとつに
「社長夫人の役割」があります。
家や子供を守るように、「吹けば吹っ飛ぶ」会社を必死で守り抜いたのは
彼女たちで、その功労が消えることはありません。
ところが経理・財務等のコアな部分を掌握し、しかも伝票処理や元帳管理
など一般社員レベルの実務まで担当しているケースが、驚くほど
多いのです。
すると判断基準がミクロに陥って、重要な経営判断を行う際、抵抗
(マイナス側の)勢力となりがちです。
逆に、社長夫人が監査役・取締役の業務に専念、または第一線を引退して、
信頼できる社員に業務移管できた企業は中堅クラスへと躍進しています。
社長夫人の感情的なしこりを最小限に抑えてスムーズに移管するには、
「次の役割」の設定と業務の標準化・システム化とが不可欠です。
最大の功労者「糟糠の妻」が、脱皮の時期に「企業化」の最大障壁になる
ことがあるのです。
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