◆中国の古典から考える会社経営「才知だけでは」筆者:武田和也
知は以って諫を拒ぐに足り 言は以って非を飾るに足る(『史記』より)
日銀等の「景気観測」と異なり、実際の経済では調整局面が顕在化し、
再び大型倒産が増加傾向にあるようです。
でたらめを重ねてきた企業にとっては受難ですが、やるべきことを
キチンと着実に実行してきた企業には、むしろ大きなチャンスが
巡っています。
表題の文言は、「殷の受王の才知はあらゆる部下の諫言を退けるほど
鋭く、弁舌は白を黒と言いくるめるほどに優れている」という意味
です。
殷とは黄河流域にて紀元前11世紀まで続いた王朝です。
紂王は殷の最後の国王で、才知と怪力を誇った文武両道の英雄でしたが、
その能力を悪用し、強引で勝手な政治を推し進めたために、新興の
周に滅ぼされました。
後世(周王朝)の脚色はあるでしょうが、そこを割り引いても能力・
構想などを実行に移せないトップ・組織は、近い将来には新興勢力に
滅ぼされることを示しています。
少し前になりますが、ある方からのご紹介で、準大手クラス企業の
経営陣から経営相談を受けました。
トップは40歳代なかばの3代目社長で、パワフルで有能さがあふれ出て
いる方でした。
彼らから現状をひととおりお聞きし、実際に何ヶ所かの現場を拝見し、
幾つかすぐに実行できる簡単なアドバイスを差し上げました。
ところがトップは、当方の提案に対して発言が終わるより先に論破に
掛かり、聞き入れる様子ではありません。
他の役員は「並び大名」のごとく沈黙し、あるいはトップの顔色を伺って
擁護するだけでした。
現場・財務などの実務を軽視し、絵空事を「夢」と語ってまったく話に
ならず、ご紹介者を通じてお断りしました。
その企業、つい先日の「企業情報」で倒産が報じられました。
個人資産が接収される際にも、その元トップは見苦しい立居振舞いで
顰蹙を受けたようです。
トップの素養としては、正しい見識や実行力の方がはるかに重要な
ことを示しています。
|
|
|
|